耕作放棄地

私が12年前に帰郷してからずっとお世話になっている方がおられます。 里山環境保全の活動や、井路(灌漑用水路)の世話をされており、集落の水道組合をつくったおりにボーリング井戸の工事をしていただきました。 ずいぶんと人脈が広い方です。

この方が市道を通りかかる時、薪小屋や野良で仕事をしている私の姿が見えれば、気にかけてくれて立ち寄り世間話をします。 以前には、いろいろと事業を始める人は多いが、それを継続している人は少ない(創業守成)と話されたことがあります。

つい先日も立ち寄られ、市内の耕作面積が急減していることを話されました。 井路の世話をされているので、その面積を数字として把握されているのでしょう。 一旦耕作放棄地となれば竹が侵食し、カンネカズラがあたり全体を覆ってしまいます。

私たち団塊の世代で元気な方は農業を続けていますが、彼等がやめれば次の世代はもうほとんどいません。 過疎化は市の総人口の推移、推計値の表を見れば一目瞭然のことであり、限界集落となるのは、もはや間近のことと実感します。

耕作放棄地が急拡大となれば、自ずから害獣がさらに跋扈します。 本来夜行性のイノシシ、タヌキ、イタチなども昼間に見かけることが多くなりました。 夜間に外を歩けばイノシシの威嚇する唸り声を聞きます。 耕作を放棄しても害獣などの問題で草刈りが必要なことは分かっていますが、何しろ若くて元気な人がいません。

温暖化、気候変動がますます進み、コロナの収束は見えず、軍事侵攻(戦争)が起きて肥料なども高騰しています。 エネルギーや資源、食糧のほとんどを他国に依存している日本のこの先はどうなるのでしょう。

私ごときが考えても抜本策は分からず、ましてや政治も無策、平坦で広大な耕作地であれば大規模農業もできるでしょうが、中山間地では如何ともしがたい問題ですね。

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