帚木蓬生「襲来」の話を少しだけ続けます。 小説の記述について、全くの門外漢の私には、どれが史実かフィクションかは分かりませんが、蒙古襲来の概容はつかめます。
鎌倉幕府が博多湾沿岸一帯に延々と石築地(いしついじ)(=元寇防塁)を築き、弘安の役の際には防塁が築かれたところからは元高麗軍は一切上陸することが出来なかったそうです。 決して神風だけの話ではなかったと言うことですね。
歴史に if はありませんが、群雄割拠の戦国の世であれば、統制がとれた元寇防塁は築けたでしょうか? 組織立った武士による反撃が出来たでしょうか?
さて、また連想ゲームですが、今回は白石一郎の『蒙古襲来』(海から見た歴史)を記します。
裏表紙には、元の大軍勢はなぜ敗れ去ったのか? クビライの海洋帝国構想、玄界灘の北西季節風の影響、軍船の構造と建造日程など、海からの視点と大胆な推論で「蒙古襲来」の真相を解明すると記されています。
さらに、十三世紀の「日本」と「世界」の激突を、臨場感豊に描く歴史読物とあります。 これは主人公を据えての小説ではありません。
第一章から第七章まで、様々な視点からの考察が記されていて、俯瞰的に、大局的に分かりやすく解説されています。 この本を読むと作家の理路整然さ、高い論理的思考力が窺えます。 彼の他の作品への食指が動かされます。
同じように、素人にも分かりやすく書かれた解説本に、司馬遼太郎『ロシアについて』(北方の原形)を思い浮かべます。 随分昔に読んだ本ですが記憶に残っています。
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