城山三郎 その1

例年であれば年末年始は行事があるのですが、今回はコロナ禍で何処にも行けず予定も無いので山仕事をしていました。 この7、8、9の3日間寒波襲来、日中の外気温も0~2℃では流石に指先がかじかんで外でのチェーンソー作業は無理です。

さて城山三郎ですが、代表作をはじめ多くの作品があり、またジャンルも経済小説、伝記小説、歴史小説など多岐にわたっています。 その中で個人的に印象深い作品のひとつに、『臨3311に乗れ』があります。

この本の解説によると、「城山三郎はこれまでにある企業の歴史をたどった社史を三篇まとめている」と記され、「臨3311に乗れ」はそのうちの一篇です。 次も解説の一文ですが、「日本ツーリストが昭和23年にわずか五人で発足した当時からの歴史を、社長として活躍した馬場勇を中心にたどったもの」とあります。

この小説の初めの頃、ガード下の一部屋だけのせまい社屋で面接試験を受けた青年が、その当日「臨3311に乗れ」と言われ、添乗員の勤務につく条(くだり)があります。 「臨3311」は臨時列車の番号で、いきなり入社したその日に、修学旅行の団体の添乗レクチャーを受けることになったことが記されています。

小説の中では、馬場勇以下創業時の面々が野武士集団として記されています。 日本ツーリストはその後合併し近畿日本ツーリストとなりました。 合併後の混乱も詳述されています。 (この会社も今は、コロナ禍で大きなインパクトを受けています。)

私が入社した会社も時代や業種は違えどこの小説に似たようなところがありました。 まだ創業期と言える頃で上場はしていませんでしたが、業容の拡大にまっしぐらのなか、急成長の企業にありがちな人員不足、人材不足が常態化しており、過酷な勤務に耐えきれず、或いは仕事が性に合わず辞めていく人も多かったですね。

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