吉村昭 その1

なかなか仕事がいそがしくて読書も音楽鑑賞もそれほど時間が割(さ)けません。
「本の虫」になってたっぷり本を読みたい、「レコードの針」になってどっぷり音楽に浸りたいと思っていますが、山仕事が一段落するまではそれも叶いません。

いつもネットで本をとりよせて読んでいます。 読み終えたらまた何冊か読みたい本を選んでネットで注文します。(私が主体ではなくカミさん任せが実情!) 少し間があいたので、以前にこのブログで紹介した吉村昭の『赤い人』を再読しました。

『赤い人』の文中に、「釧路集治監には、元巡査津田三蔵が内地から押送されてきた」とあります。 津田は、ロシア皇太子ニコライ親王をおそった「大津事件」の犯人であり、この事件のことは、『ニコライ遭難』に詳述されています。 ひとつのテーマをもった取材から、別のテーマが派生してくることが多くの作品から読み取れます。

吉村昭は、「彼ほど史実にこだわる作家は今後現れないだろう」と評された作家であり、徹底した周到な取材をもとに、淡々と事実を積み重ねた緻密な文章で作品が構成されています。 それでも速筆の作家として知られていたとは驚きですね。

吉村昭には、北海道を舞台にした作品も多く、その一部を合わせて紹介します。 『羆嵐(くまあらし)』、『間宮林蔵』、『逃亡』〔「長英逃亡」とは別作品です〕、『破獄』、『海の祭礼』、『幕府軍艦「回天」始末』、『熊撃ち』・・・

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